本記事は「プリンス・オブ・ストライド」のゲームプレイレビューと感想をまとめた記事となっています。
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プレイ時間
初回プレイ時間 | 約10時間 | (八神ルート) |
2周目プレイ時間 | 約2時間 | (久我ルート) |
4人攻略+おまけ鑑賞 | 約17時間半 | (上記2人+支倉、隠しキャラルート) |
簡易レビュー
ストーリー | △ | 大きな括りでは「青春ゲー」ですが「部活動ゲー」が正確。学校生活の描写はなし。シナリオ自体のボリュームは少なく、恋愛もおまけ程度なので乙女ゲーム目的で本作を買うのは正直オススメできない。 金太郎飴シナリオ。2周目以降は9割スキップ。 主人公やその周りは良いのだが、他校やその関係者の9割は性格が悪いためストレスフリーでプレイできない。(販売時期を考慮しても女性への偏見が強め。普段そういうことを気にしない私でも引っかかりを覚えるレベルだった) コメディシーンが豊富だがギャグセンスが合わない人にはとことん合わない。私の感覚では終始スベり散らかしていて見るに堪えなかった。 |
立ち絵 | ○ | 大きな問題はなし。 首から下の肌だけ急に塗りのタッチが変わりとても雑な塗り。全体がそういうあえての塗り方なら問題ないが顔や髪、服などはパキッとしたアニメ塗り寄りなのでものすごく浮いて見えるのが難点。 |
スチル | ○ | |
BGM | ◎ | 試合時のBGMやOP・EDがオシャレでとてもいい。 |
SE | ○ | |
演出 | ◎ | 試合時の演出は乙女ゲームではあまり見ないしっかりとした演出で、わかりにくさはあるもののよかった。 ラストの演出は他の乙女ゲームに欲しいくらいとてもいい。FiFSさんが作っているからこその演出だと感じられた。 |
UI | ◎ | 通常時の下部のUIがシンプル。乙女ゲーム特有のゴテゴテ感がなく見やすいデザインです。メニューなどもシンプル。絵柄や世界観に合っていてよかった。 |
システム | × | 本編の5割は意味のない育成(2周目以降は7.8割が育成)。 せめて1週間ずつ設定できたらよかった。作業ゲーになっていた。 試合のオーダーはたった1つの正解以外許されず、好きな構成で試合を楽しめない。 主人公の名前を変更したにも関わらず初期名で呼ばれるシーン多数(告白シーンでもある)。 背景がシナリオに合っていないミス。 誤字脱字がある。 EDが飛ばせない。 オートスキップが場面切り替えでOFFになるため、毎回スキップボタンを押さないといけない。 シーンスキップを多用するシナリオなのにシーンスキップの操作に手間がかかる。 試合のミニゲームの説明が少なく分かりにくい。 4走者→5走者の謎演出の説明はゼロで本当に分かりにくい。 などなど……全体的にテストプレイやデバッグがしっかり行われていないのを感じた。 |
ボイス | ◎ | モブの演技が下手なのが目立つが、その分メイン~サブキャラの声優は信じられないくらい豪華。ただシナリオが薄いためサブキャラの声優さん目的で買うと物足りなく感じるかも。 主人公の女の子にもボイスがあるため、神視点でプレイしたいお姉さま方に大変オススメです。もちろんボイスのOFFも可能なので夢女でも安心して楽しめます。 |
攻略対象 | ○ | 6人。 |
感想 (ネタバレなし)
主人公にボイスがついている時点で本作は夢女向けではないのだろうとは思っていましたが、恋愛要素はかなりサッパリうすしお味でした。
青春に全振り。恋愛は二の次。ゲーム内期間の半年ずっと部活動してるので、青春に恋愛がオマケでついてくる、くらいの気持ちでプレイするとしっくりくるかも。広い括りでは「学校・学園もの」に分類されますが、本当にずっと部活の話しかしないので「学校・学園もの」を期待してプレイするとガッカリします。
恋愛対象の彼たちは、乙女ゲームあるあるの「激重な過去持ち」「クソ野郎でダメ男なイケメンを支える主人公」「ヤンデレ・メンヘラ彼氏」「主人公や攻略キャラの命をかけた戦い」「急にくる謎のエチチな描写」みたいな要素はありません。もちろん高校部活ならではの悩み、過去にいろいろあったり、それぞれの苦悩はありますがどれもサクッと描かれておりドンヨリ空気を感じさせないため気軽にプレイできるのが本作のいいところ。
初回プレイは10時間とそこそこ長めなものの、育成パートが5割、試合パートが2割くらいなので文章ボリュームは実際のところかなり少なめ。
一度プレイした試合は2周目以降スキップできますし、共通シナリオが9割を占め個別ルートの存在しない完全金太郎飴シナリオなのでほとんどスキップ可能です。
シナリオの短さに対し、登場キャラはかなり多かったです。
モブを含めかなり豊富。声優陣は他校キャラの声優さんを使いまわしているものの、モブに使うにはもったいなさ過ぎる豪華声優陣なのが当作品のすごいところ。
ただし、上記で指摘した通りしっかり金太郎飴なので2周目以降、ほぼ確実に飽きがやってきます。
攻略制限がないので初回は一番気になっているキャラを攻略することを推奨します。
UIや演出がシンプルながらオシャレでとても好感が持てました。
某シーンの演出はぜひぜひ他の乙女ゲームでも取り入れてほしい。本作をプレイする意味があのシーンに詰まってると言えるくらい素晴らしい演出でした。
試合はメーターのようなものが表示され、成功範囲でストップできればA判定、さらに小さい範囲でストップできればS判定になります。
1シナリオで複数回試合があり、オールS取らないといけないかなと思っていましたが、どうやら1試合だけSを取ればトロフィーゲット。オールSを出してもシナリオの変更やゲーム内特典などはありませんでした。
そういえば、走者交代シーンのミニゲームはめちゃくちゃ早くなる回もあれば遅くなったりと規則性がわからなかった。初回プレイが一番早く、2周目以降はミスなしでプレイできるくらいゆっくりになった。どういうこと……???
クリア後はクリアポイントで特典を購入することができます。
ボイスやEDムービー、設定画、おまけエピソードなど豊富なので、クリア後もたんまり楽しめます。
一言&ネタバレ
金太郎飴シナリオはさすがに手抜きを感じられるものの、そこまで珍しいものでもないので妥協できますが……
ラストの甘々シーンで初期設定名で呼ばれた瞬間「おわった……」という気持ちになりました。
乙女ゲームで!!!!!もっともやっちゃいけないこと!!!!!
まさかこんな……それも複数個所……なんで……どうして……!
細かい話になりますが、最後の告白シーンに「愛してる」と言うキャラが数人いますが「この子が愛してるって言うか~~~?」と。そもそもみんな高校生ですし。知り合って4ヶ月程度ですし。普通に「好きだ」じゃダメだったのでしょうか。
他の方のレビューを読んでも皆さん同じ意見のようなので、意外とこういう些細な部分に引っかかりを覚えるプレイヤーが多いということですね。告白シーンですし。大事ですよね。うん。
シナリオの5割は「誰と部活動練習を行いますか」という育成モードなのですが、実はこれなんの意味もありません。
🤔🤔🤔🤔🤔
攻略対象を選ぶことで好感度的なパラメータは裏で動いているはずですし、キャラ育成のパラメータにもほんの少し影響しているようですが、どれだけ頑張ってもDスタートのスキルがAやSに変化することはなく、パラメータによって試合のオーダーが変更できるわけでもなく、試合結果にも一切影響しません。
🤔🤔🤔🤔🤔
ちなみに、プレイ中「○○が△△△△のスキルを獲得しました」みたいな演出が入ります。いわゆるキャラ固有の必殺技です。これは…なんと…使えません!コマンド操作など一切ありません。
🤔🤔🤔🤔🤔
メニューに『ステータス』という項目があり、キャラのパラメータやスキルがチェックできる画面があるのに一切意味をなさないとは…これに気づいてしまうと、意味のない作業が5割以上を占めるゲームだということへのストレスが面白さを超えてしまいます。
ハナから意味なさげの雰囲気を出しているならまだしも、意味ありげな雰囲気プンプンにも関わらず影響しないマイナスのギャップを生んでしまっているのが残念でした。
ギャラスタを除く他校の生徒や主人公の父親、ストライド運営、記者などなど、どうしてこんなにもみんな性格が悪い人・イタい人が集まってしまったのでしょうか……一見優しそうな人も実はずっとチクチクしたセリフ吐いてます。
ストライド界隈で女性が頑張ることへの当たりの強さや、発売時期(平成)を考慮してもちょっと……と思うような差別・偏見もあったり……こればかりはシナリオライターさんの性格なのでしょうか。わかりやすい攻撃と陰口や遠回しな表現で悪口を言われているようなダブルパンチ。モヤモヤの残るシナリオでした。
シナリオが短いためキャラの深掘り不足は否めません。もっとしっかり描かれていれば他のキャラクターも好感が持てたのかもしれませんが……続編が出る様子がないので、こればかりは期待できないのが残念。
主人公がみんなから「がんばりすぎ」という印象を持たれていますが、実際に頑張っている描写があるかというとほぼありません。引っ越ししてまで遠い学校に入学したわりにストライドのことほぼ知らないし、仕事内容もマネージャー兼リレーションとしてはごく普通。これもシナリオが濃密であればもっと伝えることができたと思いますが実現ならず。
ギャグパート多めですが、終始スベリ散らかしていて私は面白いと思えませんでした。
上記の部分(キャラからの攻撃)も含め、平気な人はなんとも思わないかもしれませんし、人によってはこの部分が面白いと感じるかもしれません。
こればかりは「シナリオが面白くない・悪い」というより「相性が悪かった可能性」があるため難しい話です。
主人公の周りは比較的まともな人たちで、叔父の耕一さんやさくらちゃんは本当にいい人でした。ゲーム内の良心。傍にいてくれてありがとう……
会話のギャグセンスが合わない時点でお察しではあるのですが、KGBのことを「かーげーべー」と呼ばせるセンスがあまりにもダサすぎて受け付けませんでした。作中の重要な事件にも関わらず楽しそうな感じしますし。
本作で私が一番気になった部分がこれでした。(まさかのこれ)
シナリオの相性がよければ作業も我慢できる量ですし、話の展開自体は好き嫌いが分かれるようなクセのあるものではないため、中学生くらいの乙女ゲーム初心者にオススメな作品だと思いました。
良くも悪くも平坦、会話も冗長なので、乙女ゲーム慣れしている人にオススメするのは難しいかもしれません。
恋愛要素を重視しないのであればアニメ展開もしているのでそちらから入るのもいいかも。
スポ根や熱血とは程遠いですが、男子スポーツ漫画に女の子がいたら……という王道展開なので作品なので、気になっている人はぜひ。
まとめ
- 男子高校生のアオハルを感じたい人
- 1作品でたくさんの豪華声優陣を楽しみたい人
- FiFSさんの作る世界観やイラストが好きな人
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シリーズ・関連作品
本作はなんとアニメ展開しています。
アニメは未視聴ですが、ゲームの雰囲気からこの作品はアニメを作ること前提で始まった企画なんだろうなと感じられるくらいアニメ向きの作品だと感じました。
ゲームするほど体力はないけどイケメンを摂取したい日のお供にぜひ!